フォームが全てを決める
懸垂はシンプルに見えて、実は“奥が深い種目”だ。
バーにぶら下がって体を持ち上げる。ただそれだけ。
でも、この「ただそれだけ」ができない。
なぜか?
ほとんどの人が フォームを理解していないから だ。
ベルも最初はそうだった。
腕に力を込めて、気合で体を引き上げようとする。
結果、前腕がパンパン、二頭筋が限界、背中はまったく効いていない。
「なんで懸垂は背中種目って言われてるんだ?」と本気で疑っていた。
正直、フォームを知らないまま懸垂を繰り返すのは時間の無駄だ。
どれだけ頑張っても「腕だけ懸垂」になる。
そうなると、10回なんて夢のまた夢だ。
握り方ひとつで背中が変わる
まずは握り方。
懸垂には大きく分けて2つの握り方がある。
- サムアラウンドグリップ:親指もバーを握るスタンダードな方法
- サムレスグリップ:親指をバーにかけず、人差し指と揃えて握る方法
初心者はサムアラウンドでOK。
でも「背中を使う感覚」を覚えるなら、サムレスがおすすめだ。
なぜか?
親指を外すと腕への力みが減り、自然と背中で引っ張る意識が高まるからだ。
ベルも最初は腕だけで頑張っていたが、サムレスに変えた途端に広背筋の張りを感じられるようになった。
「お、これが背中に効くってやつか!」と震えたのを覚えている。
肩甲骨を動かす意識
懸垂で一番大事なのは 肩甲骨の動き だ。
ほとんどの初心者は「腕を曲げて体を引き上げる」ことしか考えていない。
でもそれだと二頭筋だけで頑張ることになる。
正解はこうだ。
- バーにぶら下がったら、まず肩甲骨を下げて寄せる
- そのまま胸をバーに近づけるように体を持ち上げる
- 顎を上げるのではなく、胸を張ってバーに近づく
この「肩甲骨を寄せる」意識がないと、いつまでも背中を使えない。
腕が先に死ぬ→「懸垂は無理ゲー」→挫折…この流れになる。
ベルも最初は肩甲骨を意識していなかった。
だから懸垂しても「二頭筋の筋肉痛」しか来なかった。
でも肩甲骨を寄せるようにしたら、初めて広背筋に強烈な刺激が走った。
「背中ってこうやって使うんだ!」と目からウロコだった。
下半身を暴れさせるな
懸垂でよくあるのが「体を振って上がる」やり方。
反動を使えば1〜2回は増える。
でもそれは懸垂じゃなくて“鉄棒の反復横跳び”だ。
足は前後に振らない。
体はブランブランさせない。
理想は「下半身を軽くクロスして固定」だ。
ベルも一時期は反動懸垂ばかりやっていた。
でも、それで伸びるのは勢いのスキルだけ。
筋力はほとんど成長しない。
正しいフォームで地味に積み上げる方が確実に強くなる。
よくある失敗フォーム10選
- 顎を上げるだけで上がった気になる
- 体を振って反動で上がる
- 足をバタつかせる
- 顎だけバーに近づけて胸がついてない
- 下ろすときにストンと落ちる(ネガティブを捨てている)
- 肩甲骨を動かさず腕だけで引く
- 手幅が広すぎる(見た目だけワイド)
- 呼吸を止めて苦しそうにやる
- 首をすくめたまま引っ張る
- 途中までしか上げないハーフレンジ
これらに当てはまっていたら要注意。
「回数を増やすためのズル」になっていて、背中に効いていない証拠だ。
フォームを覚えるための練習法
懸垂がまだ1回もできない人は、まず ネガティブ懸垂 がおすすめだ。
- 踏み台を使ってバーの上まで顎を持っていく
- そこから ゆっくり下ろす
- 3〜5秒かけて落ちるのを耐える
この練習を繰り返すと、肩甲骨を動かす感覚がつかめる。
背中に効かせるフォームを“体で理解する”ことができるんだ。
ベルも最初はネガティブしかできなかった。
でもそれを繰り返したおかげで、初めて1回を自力で成功できた。
あの瞬間の嬉しさは、今でも忘れられない。
まとめ|フォームを制する者が懸垂を制す
懸垂はシンプルな動きに見えて、フォームを知らなければ一生伸びない。
腕に頼らず、肩甲骨を寄せて、背中で体を引き上げる。
下半身は動かさず、胸をバーに近づける。
この基本を押さえていなければ、10回どころか3回も怪しい。
逆に、フォームを理解した瞬間から懸垂は一気に成長していく。
ベルが次に語るのは「ゼロからステップアップするための補助トレーニング」だ。
ここからが本格的な懸垂ロードの始まりになる。
次回は「ゼロからのステップアップ|補助トレーニング大全」というテーマでいこうと思う。
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