背中より先に終わるもの
懸垂に挑戦していると、必ずぶち当たる壁がある。
それは――握力の限界だ。
「背中はまだ動けるのに、手がバーから離れそうになる」
「あと2回は引けるのに、前腕がパンパンで支えられない」
この現象に心当たりがある人は多いはずだ。
ベルもそうだった。懸垂を始めて最初に直面したのは、背中じゃなくて握力の限界だった。
つまり、懸垂のボトルネックは筋力よりも握力なんだ。
握力が先に死ぬ理由
懸垂は「体重×回数」という究極の自重トレーニング。
体重70kgの人が10回やるなら、合計700kgを腕で支え続けることになる。
それを全部“素手”で握りしめるのだから、前腕にかかる負担は想像以上だ。
しかも、初心者は握り方が甘い。
親指でバーを巻き込めず、手首で逃げてしまう。
結果、背中が余っているのに手が先にギブアップする。
「懸垂は背中種目」と言われながら、最初は腕と握力ばかりが悲鳴をあげるのはこのせいだ。
ギアを使うのはズルか?
ここでよく出るのが「パワーグリップやリストストラップを使うのはズルじゃないの?」という議論。
ベルの答えはシンプルだ。
「背中を鍛える目的ならギアを使え」
握力が先に死んで背中を追い込めないなら、本末転倒だ。
懸垂を背中種目として伸ばしたいなら、ギアの力を借りるべきだ。
ベルおすすめのパワーグリップ
フォームで握力に頼り切らない
ただし、ギアに頼りすぎると握力が育たないのも事実。
だから大事なのは、フォームで腕に余計な力を使わないことだ。
- サムレスグリップで腕の力みを減らす
- 肩甲骨を寄せて背中で引く
- 握力は“支えるだけ”、引っ張るのは背中
この意識ができると、握力の消耗が一気に減る。
ベルも「腕で引く懸垂」から「背中で支える懸垂」に切り替えてから、握力切れが大幅に減った。
ベルの失敗談
正直に言おう。
ベルは懸垂を始めてすぐ、握力のせでバーから落ちたことがある。
8回目で背中はまだ余裕。
「あと2回はいける!」と思った瞬間、手がツルッと滑ってストンと落下。
幸いケガはなかったが、あの恥ずかしさは今でも鮮明だ。
そこから真剣にパワーグリップを導入し、握力トレーニングも取り入れた。
結果、10回に近づく手応えを掴めた。
まとめ|握力の壁を超えろ
懸垂10回を目指すなら、握力という壁は避けられない。
でも、正しい工夫とギアを使えば必ず突破できる。
- 握力に全部を奪われる前に背中で引くフォームを身につける
- パワーグリップで背中を追い込む
- ギアに助けられながらも、少しずつ自分の握力を強くする
背中が余っているのに握力で限界になる――そんな悔しい状況を乗り越えたとき、懸垂は一気に伸びていく。
次回は「背中を使え|腕引き懸垂からの脱却」というテーマでいこうと思う。
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